Waves TransXの使い方(トランジェント・コントロール)

サウンドのアタック成分を作用して、音の立ち上がりや伸び・余韻(=トランジェント)をコントロール。
サウンド全体のトランジェントに作用するWideと、帯域別に設定できるMultiの2種類。

 

「Rangeによるアタックの増減」

検知したアタック成分を強調(低減)する量を決める。
0より上のプラスの値に設定すれば強調され、マイナス方向に設定すれば低減される。
強調した場合クリップすることもあるので、Trimボタンを使って出力を下げる。
反対に、低減した際に出力を上げると、音の伸びや余韻を出すことができる。

※ +6dBは、音量が2倍に聞こえるため、適用する際、1つの基準となる。

 

「Sens(Sensitivity)によるアタック検知感度の設定」

アタック検知の感度。
演奏に強弱があるトラックの場合、一定以上の音量のアタックにだけ作用させたり、あるいは音量によってそれぞれ効き具合を変えるということもできる。

※ Sensの値をマイナスに振ると、小さい音に対しての効きを弱くする。

 

「DurationとReleaseによるトランジェントの微調整」

Durationは、検知したアタック成分に対して、どのくらいの時間強調(低減)するか、その時間(ms)を設定。
長くすればより強い効果が得られ、長すぎるとアタック以外も強調(低減)されてしまい、トランジェントの変化は得られにくくなる。
Sensとも関係の深いパラメーターなので、両方のバランスを取りながら調整する。
Releaseは、Durationで設定した時間が経過した後、どのくらいの時間をかけて元の音量に戻すかを設定する。
短いほど効きが強い印象となり、長くするほど自然な効き方となる。

 

「Multiによる帯域別の調整」

4つの帯域別にトランジェントを調整できる。
様々な音が混じりあっているバストラックや2MIX、あるいはピンポイントの帯域を狙って調整したい場合等に便利。
帯域別に設定できるのは、RangeとSenseで、Duration/Releaseは全体で調整する。
各帯域幅を設定したり、あるいは個別にオンオフを行うこともできる。

 

「ベースのアタックを強調する」

TransXは、ドラムやパーカッションに適用するイメージが強いが、ベースやギター等のトランジェント調整にも最適。
プリセットを選択して、Range等のパラメーターを適切に調節するだけでも、手早く効果を得られる。

 

「シンバルのサスティーンを調整する」

Rangeを0以下の数値に設定してアタックを抑え、アウトを上げていけば、反対にサスティーンを出すことができる。
合わせて、DurationやReleaseを調整すれば、「サスティーンの山をどの部分に作るか」といったニュアンスまで追い込んでいくことができる。

 

「Multiでタイトなキック作り」

ピンポイントで帯域をコントロールしたい際にも使え、低域が伸びすぎているキックに対しては、高域に絞ってアタックを強調することにより、
タイトで張りのあるサウンドを狙うことが出来る。
コンプレッサーに比べ、直感的かつスピーディな作業が可能。

 

「高域のアタックを抑えてサウンドを奥に配置する」

トランジェントは、サウンドの距離感とも深い関係を持っている。
通常、アタックが強ければ近くに、弱ければ遠くで鳴っているように聴こえる。
距離感をコントロールしたい場合、Multiで高域中心に調整すればより効果的。
特に「奥に配置したいがリバーブで音質を変化させたくない」といった際に非常に便利。

 

「マキシマイズ済み2MIXのダイナミクスを復活させる」

マキシマイズ済みの2MIXに、新たにトラックを追加してミックスしようとすると、うまく馴染まないことが多い。
マスターで無理やりコンプをかけても、全体的に潰れすぎてしまう。
そのような場合は、TransX Multiを使って2MIXのダイナミクスを復活させておくと、ミックスしやすくなる。
特に、キックやスネアに注目しながら、各パラメーターを調整する。
一例として、下記のような流れで作業するとわかりやすい。

① Durationをある程度上げて各帯域が反応するようにする。

② 各帯域ごとに幅やSensを微調整し、最後にRangeで効き具合を決める。

 

DTMソフトをAmazonで購入する!